ア高齢化が進んできている我が国において、現在失明原因としてNo.1の疾患になっております。緑内障は、放置しておくと進行が遅い早いなどの個人差はあるものの、多くの場合知らず知らず進行してしまう場合が多く、かつ一旦傷んでしまった視神経は再生しないため、早期発見早期治療が大事になってきます。
特に、眼圧が高いと緑内障が進行しやすいのですが、日本人の緑内障の多くは、眼圧が正常の緑内障が多く、眼圧だけでなく視神経の所見も大事になり、進行しているかどうかの確認は、定期的に行われる視野検査で確認されることが一般的です。最近は、診断機器にも色々なものが使用できる様になり、かなりの早期での発見も可能となってきました。 治療としては、過去から現時点まで、唯一効果があると認められているのは、眼圧を下げるということです。 まずは、点眼などの薬物治療が、第一選択になります。 現在は、多種の点眼が開発されてきており、点眼治療だけでコントロールできることも多くなりました。 が、薬物治療の効果には個人差があり、点眼治療を行っても進行が認められる場合には、緑内障手術が必要になることがあります。
流出路再建術としては、トラベクロトミー手術だけではなく、H26年より新たな低侵襲緑内障手術〜MIGS:micro invasive glaucoma surgeryを導入しており、可能な限り侵襲の少ない手術を心がけております。
濾過手術としては、強角膜ブロック切除を行わず、エクスプレスデバイスを用いたトラベクレクトミー手術及び通常の強角膜ブロック切除を行うトラベクレクトミー手術を行っており、患者様の眼圧や目標眼圧、緑内障進行度、ご年齢、ライフスタイルなども考慮し、最適な手術法を選択する様に心がけております。 また、患者様の年齢や白内障の状況により、選択する手術方法によっては、白内障手術を同時に行うことも可能です。
開放隅角緑内障に対する手術の1つです。線維柱帯の一部を切開・除去し、房水の流れをよくして眼圧を下げることができます。
●トラベクレクトミーに比べ、MIGSの場合、眼圧下降効果は低い。 (ロトミーとは同じくらい)よって、MIGS術後さらに下降が必要な場合にはトラベクレクトミーを行う。)
●角膜切開からのアプローチなので結膜・強膜の温存可能。 そのため、後からトラベクレクトミーがやりやすい。 (侵襲性の度合いとしては、高い方からトラベクレクトミー、ロトミー、MIGSである)
●白内障と緑内障を同時に手術することが可能。
●トラベクレクトミーやロトミーに比べて合併症が少ない。
●点眼麻酔をします。
●耳側角膜を1.7mm切開します。
●粘弾性物質を注入します。
●隅角鏡で確認しながら鼻側線維柱帯まで進めます。
●フックの先端をシュレム管に挿入し、ゆっくりと動かしながら線維柱帯を切除していきます。 ※時計回り、及び反時計回りに各45~60°ほど切除し、全体で90~120°切除します。 (白内障同時手術の場合はその後切開創を必要に応じて拡大し、超音波乳化吸引および眼内レンズ挿入を行います。)
●その後眼内に残存している粘弾性物質、および逆流性出血を除去し、必要に応じて角膜をナイロン糸で縫合して手術終了となります。 手術時間は約15~20分程度です。