• iStentによる
    低侵襲緑内障手術

iStent(アイステント)

  • 当院では、iStent(アイステント)による低侵襲緑内障手術(MIGS:micro invasive glaucoma surgery)併用の白内障手術を開始しております。
    低侵襲緑内障手術とは、iStent(アイステント)(図1)といわれる、微小な金属の”ステント”といわれる器具を白内障手術をするときに目の中に留置する手術となっていて、この手術は最近流行りとなっている、低侵襲緑内障手術(MIGS : micro invasive glaucoma surgery)という、手術に分類されております。

図1:この指の先に写っている、黒い粒がアイステントです。

iStent(アイステント)とは

  • アイステントは、緑内障を治療するために使われる医療機器で、医療用グレードのチタン合金でできています。
    iStentを眼の中の組織に埋め込むことで、房水(ぼうすい)と言われる、目の眼圧を調整する液体の排出循環を改善し、眼圧を低下、安定することができます。
    iStent(アイステント)による低侵襲緑内障手術に期待される効果は、この手術は白内障手術と同時に行うので白内障の治療も同時にできること、手術時の眼の切り口が小さいので回復が早いこと、また眼圧を下げる効果が期待できます。
    先述したように手術後に眼圧が下がることで、緑内障治療用の点眼薬の数を減らす可能性があります。

図2:繊維柱帯といわれる部分に挿入することで、目の中の水の循環が改善して、眼圧が下がる仕組みです。 なお、アイステントは2014年から全世界で20万眼以上に使用されていて日本では2017年から厚生労働省に許可され、日本眼科学会の指導の下の講習会を受講し、アイステントに関する技能や手技に伴う合併症等の知識を得た医師のみが行える治療です。

利点と安全性、そして危険性について

この手術は白内障手術と同時に行い、挿入に要する時間は5分程度で済みますので、少ない侵襲で術後の回復が早い上に、眼圧を下げる効果が期待できます。
また手術後に眼圧が下がること(個人差はあるものの緑内障点眼1種類分:1年後で3~8mmHg程度の減少)で、緑内障治療用の点眼薬の数を減らせる可能性がありますので、緑内障の点眼治療中の患者さんにとっては、点眼の数が減ることで点眼の手間から解放されたり、医療コストの削減にもつながるメリットがあります。ただし、全ての緑内障が適応になる訳ではなく開放隅角型の緑内障が適応になります。
なお、安全性として、有害事象として報告されているのは、出血や炎症、目の違和感、ステントの詰まり、一過性の高眼圧や低眼圧などとなっております。全ての緑内障に適応があるわけではありませんので、緑内障の治療をしていて、点眼を減らしたいとお考えの方は、まずはご相談いただければと思います。

  • 対応疾患

    眼圧下降薬により治療中の軽度から中等度の開放隅角緑内障の成人患者で白内障手術に併用します。

  • 治療体制

    白内障手術時にiStentをインプラントしますが、正確にインプラントするために手術中に患者様の頭の位置を変えたりすることがありますので医師の指示に従ってください。

よくあるご質問

インプラントしたiStentが術後に見えますか?

患者さん自身、あるいは他の方からもiStentは見えません。

材質的にMRIへの影響はありませんか?

MRIへの影響は少ないチタン製です。手術後にMRIの条件を記載したカードをお渡ししますのでMRIを受ける際に提示してください。